老後にも今の家に住み続けると決めたなら、今の家が安全かどうか確かめましょう。安全ではないと思ったら、リフォームが必要です。
老後のリフォームにはお金も体力もかかります。信頼できるリフォーム業者を選び、優先順位を決めて計画性を持って行いましょう。このページでは、失敗しない老後のリフォームのすすめ方を紹介します。
リフォームに取り掛かる時期
リフォームをするなら、余裕があるうち、元気なうちに。
リフォームはすぐにできるものではなく、ある程度の準備期間と施工期間が必要です。施工中は、経済的な面以外でも、ごはんが作れなかったり、自宅のお風呂に入れなかったりといろんな負担がかかります。
実際に車椅子になってからやかなり不便を感じてからやり始めるのではなく、不便を感じるようになった場合を想定し、早め、早めに心構えをしておきましょう。
一般的には、リフォームに最適な時期は、体力もあり、リフォームに必要な時間、労力、費用がかけられる50代~60代初めと言われています。
ただし、バリアフリー化や手すりをつけるなどの工事は、65歳以上で、『要支援』や『要介護』認定されていると、介護保険でリフォーム費用の助成金がでる人もいます。できることは限られていますが、自己負担額がかなり減るのでぜひチェックしてみてください。
今の家で老後もすすめるかチェックポイント
老後を迎えると不便に感じるところがあるはず。こんなところをチェックして、リフォームする必要はあるか?ないか?を判断していきましょう。
段差はないか?
玄関・お風呂・トイレ→段差がきつすぎないか?玄関にスロープは必要ないか?
- 掘りごたつ→ソファへ
- 2階の物干し→1階へ
年をとると足がすんなりあがらず、ちょっとした敷居の段差でつまづくことがあります。敷居に小さなスロープをつけるだけの簡易バリアフリー化もできます。
逆に下から上に立ち上がるときには段差があったほうが便利。布団よりベッドの方がスムーズです。
また、家族がたくさんいた家で一人暮らしをすると、スペースが広すぎます。寝るために、洗濯物を干すために2階へ上がるより、一人暮らしなら階段を使わずにすむ1階だけですべて生活できるようにすると快適。
手すりをつけるべきか?
年をとると足の力だけでは立ち上がりにくくなります。お風呂から上がれなくて事故、立ち上がるときにふらついて倒れるのを防ぐためにも、トイレから立ち上がる、お風呂から上がる、階段の昇り降り、玄関先などに手すりがあると安全です。
床がすべらないか
家の中で転倒→そのまま寝たきり となることも多いです。お風呂の湯船の中、部屋の床の素材がすべらないか、など見直しましょう。
- フローリング→すべりにくくやわらかい材質の床材に
- 階段→ステップ部にすべりにくい材質のものを
お風呂やトイレが寒い
高齢者が自宅で倒れる原因の一つはヒートショック。ヒートショックは、温度差による急激な血圧の変化で心筋梗塞を起こしたり、気を失ったりする現象です。特に夜中のトイレ、洗面所(脱衣所)、お風呂はふだん人がいないために他の部屋より寒くなっていることがほとんど。
- タイル張りの風呂→ユニットバス
- 寒い洗面所、トイレ→断熱材、二重サッシ、暖房の設置
窓の結露はないか?
窓の結露はほうっておくとカビが発生しやすく、お掃除も手間。二重サッシにすると結露は最小限に、外との寒暖差もやわらぎます。
トイレの場所はここでいいか?
年をとると、夜寝ている間にトイレに行く回数が増えます。寝室からトイレまでの場所が遠い、その間が暗い、せまい場合はリフォームを。寝室に近い場所にしましょう。
火事が起きないか?
年をとると注意散漫になりがち。一番怖いのが火事です。台所はガスからIHに。
耐震は大丈夫か?
日本は非常に地震の多い国です。耐震は大丈夫か?プロに点検してもらいましょう。
リフォームの優先順位を決める
家の不便さを考えるとキリがなくなります。そんなときはリフォームの優先順位を決めましょう。不便よりも人の生死に関わることのほうが心配。トイレやお風呂のリフォームから考えてみてください。
リフォームとして大々的にやらなくても、お風呂の浴室暖房機は埋込み式ではなく、壁掛け式の暖房乾燥機を取り付ける方法もあり、リースもできます。トイレのリフォームが高額だと思われる場合には、ポータブルトイレを購入し、夜だけポータブルを利用するということもできます。
手すりの取り付けについては、工事で取り付けなくても天井と床に縦のつっぱり棒を介護保険適用内のレンタルで取り付けるという方法もあります。介護保険サービスを利用しているなら、ケアマネージャーに、そうでないなら、施工業者に相談してみましょう。
成功する!リフォームのすすめ方
これ1冊で、一人暮らしの方が、老後を考えてマンションをリフォームする時に本を紹介します。
徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと
ちきりんさんの「徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと」という本です。
「リノベ(=リフォーム)したい、でもどこから始めればよいのかわからない」という向けに徹底的に顧客目線で書かれた本です。
- 予算はどのぐらいに設定すればいいのかわからない
- リノベ会社の選び方がわからない
- 見積書の読み方がわからない
- 助成金の申請方法
- 引っ越しとゴミ処分方法
などが実体験を踏まえて、とにかく、細かく、わかりやすく書かれています。
ちきりんさんは、一人暮らし。特に印象的だったのは、間取り。将来自分が車椅子になったことまで想定して、寝室やトイレの配置までを考えられています。
時間のある方は、ぜひこの本を読んでみてください。
①リフォーム予算を検討する
いくらでもだせるという場合は除いて、老後資金から多額リフォーム費用を使ってしまうとこれから先の生活が心配です。リフォームにかかる費用がどのぐらいか、自分はいくらだせるのかを把握しておきましょう。
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②リフォームする場所を検討する
今の家で不便なところはどこかをピックアップする
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③リフォーム会社を探す
安心なのは近所の口コミ。その他、内覧会や展示会などに参加して探す。最終的に大手と地元の工務店など3社程度に。
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④現況検査をする
自分ではリフォームと決めても、耐震性や構造は素人にはわかりません。場合によっては建て替えたほうがいいかもしれないので、プロに現況検査してもらいましょう。(5~10万円程度)
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⑤相見積もりを依頼する
リフォーム費用がいくらぐらいかかるのか見積もりをそれぞれの会社にだしてもらう。
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⑥リフォーム会社を決定
契約はしっかり。
失敗しないリフォームは業者選びが決め手。見積もりをとるといっても金額だけではありません、お風呂とトイレを新品にするだけの工事と場所も変えていい景色を見ながら明るいお風呂に入れる!など同じ金額で、新しい提案があるかも。提案も合わせて比較検討してみましょう。
業者は大手の方がリフォーム詐欺の心配が少ないですが、お値段が高いことがほとんど。今後もメンテナンスなどでお付き合いが続くことを考えると、家から近く、人から紹介された地元の工務店がおすすめです。
バリアフリー工事をするなら専門の業者を。心当たりがないときには市町村の高齢者住宅相談窓口で業者のリストがもらえます。
決めての一つとなるのは、高齢者の住宅リフォームいついて知識がある『増改築相談員』がいるかどうか。(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターに登録されており、そのホームページから検索することができます。
見積もりをもらったら必ず今の家の中でココの部分というのを確認しながら説明してもらいましょう。わかりやすく、ていねいな業者を探すことが失敗しないリフォームのためのコツです。
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