老後一人暮らしには持ち家か賃貸どちらの方がいいのでしょうか?
賃貸には賃貸の持ち家には持ち家のメリット、デメリットがありますが、それぞれが老後になると、家賃派の方が貯蓄が急激に減る傾向にあります。お金のことだけではなく、持ち家があるとそれを担保にお金が借りれたり、家を貸すことで老後資金がつくれるなど、老後ならではのメリットがあります。
このページではデメリットも考慮しつつ、一人暮らしの人が老後のために家を買い、それを活用して老後資金を生み出す方法を紹介します。
老後一人暮らしで賃貸に住むメリット・デメリット
賃貸の方が老後の貯蓄は急速に減りやすい
住宅ローンの返済が終わると持ち家派は楽になるのに対して、賃貸派は長生きするほど家賃の支払いが長く続きますので、定年前にはその分多めに貯蓄する必要があります。若い頃の貯蓄は賃貸派の方が多いのですが、老後になって急速に貯蓄額が減りやすいのは賃貸派。
住みづらければ引っ越しへ
老後を迎えると今住んでいる家で不便なところが出てきます。手すりがなかったり、洗面所が寒かったり。持ち家だとあれこれリフォームすることができますが賃貸住宅に手を加えるわけには行きません。
今後も住み続けられないと思ったときには、住み替えをする必要があります。
災害の被害は最小限
賃貸にもメリットがあります。地震、台風、大雨による土砂災害、隣家からの火災等によって家が壊滅的な被害を被った時、持ち家だと住宅再建には多大なお金が必要ですが、賃貸であれば、家財費用と引越しの負担があるぐらい。賃貸住宅に関しての責任はすべて家主なので、住んでいる人の負担にはなりません。
家を借りるには保証人が必要
これまで住んでいた賃貸に住み続ける場合はいいのですが、老後になって賃貸に住み替える、別の賃貸に引っ越すという場合は特に注意が必要。
おひとりさまはただでさえ賃貸が借りにくいのが実情。さらに老後になって、60代、独身、保証人なしという条件のもとでは仕事があってもなくても貸してもらえないことが多いです。
賃貸契約には、保証人が必要です。保証人になってくれる家族や友達がいない一人暮らしの場合には、保証人が不要の都営団地などを探してみてください。所得に応じて家賃設定されていて、年金高齢者が格安で借りれる賃貸があります。
老後一人暮らしのために家を買うメリット・デメリット
持ち家はローン以外ににもお金がかかる
住宅ローンは定年前に終わらせることが必須ですが、ローンを支払い終えても、マンションなら管理費、修繕積立金はずっと継続して支払わなければなりません。戸建てでもその分を同様に積み立てて置く必要があります。
また、固定資産税や都市計画税などの税金も発生します。火災保険、地震保険も払い続けなければいけません。
持ち家なら老後対応にリフォーム
持ち家の強みは、自分の家を住みやすいように作り変えることができること。自宅で住み続けるには、元気なうちに自宅をリフォームしておくこと。
持ち家の資産価値は思った以上に少ない
持ち家派はいざとなったら売って、そのお金で老人ホームに入れればよいと計画している人もいるかもしれません。その前に不動産業者へ査定を依頼して、現在の資産価値を確かめておきましょう。“家を売れば何とかなる”と考えている高齢者が以外と多いのですが、そのほとんどは、のぞんだ通りの価格で売ることができません。
あてにできるのは、購入時からの大幅な下落のリスクが少ない都心部に土地やマンションを所有している人だけ。
“うわもの”である家屋は築20年以上になると評価額はほぼゼロになります。家を解体して更地にして、土地自体を売るのが普通。
解体費用は、30~40坪の木造住宅だと100~150万円ほど。立地条件によってはもっと高くなることも。これから人口が減っていき、土地は余ってくるため、土地価格は下がる一方。売れたとしても、税金もかかってきます。
老後に持ち家を貸す
持ち家があって、老人ホームに住み替えるという場合、入居費の費用は手持ちの貯蓄をあてて、自宅を賃貸に出し、家賃収入を得て、施設の月間費に当てるという方法もあります。
持ち家を貸家にすると、不動産所得が入る上、固定資産税や修理費用も控除され、家を“売る”より“貸す”方がメリットが大きいです。住み替えを希望なら、マイホーム借り上げ制度というものがあります。
マイホーム借上げ制度移住、住み替えを希望している50歳以上の人の自宅を借り上げ、子育て世代を中心に家を貸出する制度
シニアの一戸建て、マンションなどを相場の80~90%の家賃で借り上げ、一般より低い家賃、さらには、敷金、礼金なしで入居希望者に3年の定期借家契約で貸出します。空き家になっても最低保障家賃が支払われ、国の基金による債務保障もある公的な住み替え支援制度。
持ち家に住みながらお金を借りる
自宅を担保にお金を借り、死亡時に一括返済するシステム
『リバース・モーゲージ』という手法を利用した高齢者向けの貸付制度があります。一部の金融機関、一部の自治体、独立行政法人住宅金融支援機構が扱っています。“住み慣れた地域で今までどおり我が家に住み続けたい。持ち家はあるけれど、年金だけでは、充分に暮らしていけない”という場合。自宅を担保にしてお金を借りて、そのお金を年金のように毎月受け取って日常の生活費などにあてる事ができます。
『リバース・モーゲージ』では、
- 住宅のリフォーム
- 住宅の建て替え
- バリアフリー工事
- 耐震改修工事
など、使途が決まっているものから、自由なものまで色々あります。リフォーム費用を借り、自分がなくなったとき、死亡保険金や預金などでそのお金を返済すれば、自宅や土地を遺族に残すことも可能です。逆に現金で返せない場合は担保物件を売却して返済することになります。
収入や老後資金が少ない高齢者でも、住み慣れた住居で生活を継続することができます。
リバースモーゲージにはリスクがあり、一つは金利上昇のリスク。ローンと同じで、金利が高くなると受け取る金額が少なくなったり、担保割れとなり貸出を受けれなくなる場合があります。また、土地の評価額を元にして支給額が決定されるので、不動産価値が下がった場合には、支給額が少なくなるリスクがあります。
もう一つは、長生きリスク。当初予定していた年齢よりも長生きした場合、存命中に借り入れ金残高が不動産評価額に達してしまうと、途中で打ち切られてしまうことになります。
住みながら家または部屋を貸す
持ち家があるが一人暮らしになり、家が大きすぎる、という場合、土地柄によっては旅行者や短期滞在者に空き部屋を貸す『民泊』で老後の安定した収入を得ることができます。民泊をネットで仲介するエアービーアンドビーなどに登録して、自分もそこに住みながら空いた不動産を有効活用することができます。
このように活用できる家は、利便性のよい場所にあること。家を買うときに活用できるか考えて購入するといいですね。
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