病気になり、治療をするのは治る見込みがあるからですが、治癒する可能性がない患者(=終末期)にも延命治療をする病院もあります。シニア一人暮らしで自分で判断できなくなった時のために、自分の最期をどう迎えたいかということを意思表示しておくことができます。
最期だけでなく、自分がどう老い、介護を受ける状態になったらどこで暮らしたいのか、誰に介護して欲しいのか、自宅で療養したいのか、病院に入りたいのか、福祉施設で暮らしたいのか。
終末期には至らない時点での医療もどうするのか、考えておきましょう。
最期の治療はどうしたいのか?
昔の日本人のほとんどは自宅で、最期を迎える事ができました。ものが食べられなくなれば、あまり苦しまずに自然と生を終えることができました。一方、最近は、病院で亡くなる人が増えています。
医療技術の進歩により、食べられなくなっても点滴で栄養を補給したり、胃に穴をあけて食べ物を入れる胃ろうをおこなったり、呼吸が弱くなれば、肺に酸素を送る人工呼吸ができるようになり、その結果、高齢者の医療費が年々増え続けています。
平成26年度の『人生の最終段階における医療に関する意識調査』(厚生労働省)によると最終段階での治療に関しては
- 中心静脈栄養
- 経鼻栄養
- 胃ろう
- 人工呼吸器
- 心肺蘇生処置
などの治療は、57-78%が望まず、自分が余命6ヶ月の末期状態になった場合には、延命をのぞまない人が増えています。
助かる見込みがないのに、ただ生かされているという医療に疑問を感じ、人間として自然な死を迎えたい。そんな人は、リビング・ウィルを残しましょう。
リビング・ウィルとは、日本尊厳死協会が位置づけた『自然な死を求めるために自発的意思で明示した生前発行の遺言書』 です。会員が署名・押印した『尊厳死の宣言書』の保管・登録を行っています。
『尊厳死の宣言書』を医療機関や医者に提示すると、尊厳死を希望するという意思が受け入れやすくなります。(必ずではありません)
自分の意志表示をまとめておく
リビングウィル以外でも、家族や介護をしてくれる人に普段から自分の希望を伝えておくとともに、書類にまとめておき、お薬手帳に挟んで冷蔵庫などのわかりやすい場所にに貼っておきましょう。
いざというとき、救急隊員や他の人にみつけてもらえるようにしておくと、役に立つかもしれません。
まとめておきたいことはこんなこと
- 会っておきたい人
- 食べたいもの
- 今のうちにしておきたいこと
- 身辺整理でしておきたいこと
- 親戚・身内のこと
- 病名告知をしてほしいか
- 延命措置はどこまでしたいか
- 尊厳死について手続きはしているか
告知や余命告知については、現在インフォームド・コンセントといって治療の内容についてよく説明を受け、理解した上で医療方針に合意することが定着しており、お医者さんが情報を本人に公開することが原則となっていますので、希望を書いても無理なこともあります。
尊厳死についても、難しい問題で、いったん治療をしていて、途中でやめることは難しくなります。一度つけた人工呼吸器を外すと医師が殺人罪に問われることもあるからです。
状況によって役立つかもということですが、最期をどう迎えたいのか、治療の意思を伝えることは大事です。
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